ある秋のことでした。二、三日雨がふりつづいたそのあいだ、ごんは、ほっとして穴(あな)からはい出しました。空はからっと晴れていて、もずの声がキンキンひびいていました。
ごんは、村の小川のつつみまで出てきました。あたりのすすきの穂(ほ)には、まだ雨のしずくが光っていました。川はいつもは水が少ないのですが、三日もの雨で、水がどっとましていました。ただのときは水につかることのない、川べりのすすきやはぎのかぶが、黄色くにごった水に横だおしになって、もまれています。ごんは川下の方へと、ぬかるみ道を歩いていきました。